小悪魔的な彼と悲観的な彼女


「…へ?」

「そりゃあそうでしょ。若いチャラチャラしたのがニコニコ近寄ってきたら誰でも警戒するわ」

「チャラチャラですか。でも若いのって言ったって、琴乃さんもすみれさんもまだまだお若いじゃないですか、全然変わりませんよ」

「そうやってあんた達くらいの奴らに言われると余計にこの野郎と思うけどね」

「…うーん、手厳しいなぁ」


どう言おうと返ってくる琴乃の容赦無い攻撃に、思わず困ったように眉尻を下げる拓也君。

琴乃、なんかいつも以上にとんがってるもんね…あの拓也君がこんな風になるとは…っていうか拓也君、私の信用してない問題まだ引きずってたのか。もう済んだ事だとばかり思ってた。

うーん、この空気、何とかならないものか…


「…あのさ、私。別に信用してないって訳じゃないよ?」


その瞬間、一斉に私へと集まる二つの視線。私としてはフォローしようと思って口を開いた事実を一瞬にして後悔するレベルである。


「い…いや、なんかその…なんていうか…アレだ。私はもう、拓也君の事信用してるし、それにちゃんと信用出来る様になったのは琴乃が色々心配してくれて、解決していけたからって事もある訳だし…だからその…ね?拓也君も琴乃もお互い警戒しないで。ね?」

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