小悪魔的な彼と悲観的な彼女


眉間に寄ったシワが深い…

琴乃、なんか怒ってる…?


「琴乃…」

「…あんたの言う通り、あたしはすみれの事に口出しして楽しんでる訳じゃないし、もちろん価値観を押し付けようとも思ってない」

「……」

「……」

「でもあんた達の邪魔するかどうかは…拓也、あんた次第だよ」

「え?」


…それはさっきまでとはガラリと違う、琴乃の表情に雰囲気。


「僕、ですか」


そんな雰囲気を絶対察してるはずなのに、拓也君は変わらず微笑みを浮かべたままでいる。それはいつもの、彼の余裕…なのだろうか。


「あのさ、すみれの事…本気で好きなんだよね?」


真っ直ぐに投げかけられる、琴乃から拓也君への問い。


「はい、もちろんです」


そしてそれに返ってくるのは、当然肯定の返事。

…でもそんな返事は、まるで琴乃には意味が無い様にも見えた。

< 113 / 202 >

この作品をシェア

pagetop