小悪魔的な彼と悲観的な彼女


拓也君が参加するようになったこの飲み会、回数を重ねるごとに二人の息も合うようになってきたと思う。今では随分お互い慣れて、すっかり友達みたいになったと思う。

琴乃は琴乃でハッキリ言う所は相変わらずだけど、前より棘が無くなったっていうか、どちらかというと可愛がってるように感じられるようになったし、拓也君は琴乃に自分から話に行くようになった…というか、本音を言うようになったというか。

二人ともなんだかんだでこの言い合いを楽しんでるし、楽しみにしてるんじゃないかな。イキイキしてるからね二人とも。私は母親のような気持ちで見守ってしまうよ、本当。


「ハァ…どうしよう琴乃さん。慈愛に満ちた瞳ですみれさんが見つめてくる…」

「そうだね、嬉しいね。分かったから色々含んだ溜息するのやめて、イケメンがする溜息じゃなかったよ今」


本当にあんたはすみれの僕(しもべ)だね、なんて。琴乃のそんな言葉にすら笑顔で頷く拓也君にはやっぱり変態だった説が濃厚な今日この頃である。


「あんた最近キャラ崩れてない?」

「始めからキャラなんてありませんけど」

「でもほら、すみれ少し引いてるよ」

「……」

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