小悪魔的な彼と悲観的な彼女


もうなんか、気を使ったつもりが遣わせてしまった的な。私が予約してお店探した方が良かったのかもしれない。本当に、本当に。


「なんで?気を使ったとかじゃないんだけど…ほら、僕だってすみれさんとゆっくり話したかったし、こんな事でも無いとこんなとこ来れないし」


…て、またこんな事言ったせいで拓也君に気を使わせてる!もう悪循環だよ本当に!


「うぅ、ごめんなさい…」

「いやいや、それにここなら他の知り合いに会う事も無いだろうしさ、ね?だからゆっくり出来るよね」

「うん、そうだね……ん?」


あれ?知り合いに会う事も無いって…あぁ、もしかして若い子がって所をそんな風に解釈してくれたのかな。拓也君若いもんね、そしたら当然拓也君の知り合いも若いもんね…いやなんか申し訳無い。そこまで気を回してくれなくても平気なのに。


「…うん。とりあえずご飯来たし食べようか。乾杯しよう、乾杯」


そして、そんな拓也君の言葉に導かれるようにお酒を飲んでご飯を食べて…気づいたら、いつものものとは値段も味も違うそれにどんどん気分が良くなって、そうなると元気もどんどん出て来て、なんかうだうだグダグダしてた自分はどこかへ行ってしまって、そうなった結果ーー…


「拓也君はさぁ?なんで私の事好きなの?」

「すみれさんの全部が好きだからだよ」

「何それー、全部とか信じらんない。嘘っぽい、嘘つき!」

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