小悪魔的な彼と悲観的な彼女
あぁ、もうダメだ。恥ずかし死にしてしまう…いっそ記憶が無くなるほど酔っ払っていれば…っ、もう気付いたら朝だったの方が良かった…っ、!、いやっ、それこそダメだ、もっとヤバいやつだ!
どれだけ醜態さらすつもりなんだよ!と。うんうん、それを回避出来ただけマシなんだ!なんて。
改めて考え直す事が出来た自分はまだイケると、自分に一生懸命言い聞かせて元気出させて気合い入れて、なんとか立ち直った私は逃げて来た安息の地、お手洗いを出る事にした。
えっと、どこにあったっけ?なんてキョロキョロしながらなんとか道を戻って…奥にあった拓也君が居るであろう個室へと戻る…と。
……あれ?
「あれ、何?もしかして仕事中だった?」
私に気づいたその人は、拓也君にそんな事を尋ねる。すると拓也君は笑顔を浮かべたままその人の質問に否定した。
「え、じゃあ何?もしかして…彼女⁈ 」
大きな目を更に大きくして、その女性は繰り返し拓也君に尋ねた訳で…って、それって驚いてるって事だよね、つまりどういう意味だそれは。というか誰だあなたは。
酔っ払いはこういう時強いなと思う。まだまだ心にまでは響いてこないというか、考えるための回路が断たれてるというか、なんかそんな感じだったからモヤモヤふわふわとハテナしか浮かんでなくて…
「はい。そうなんです」
…でも、拓也君がそう答えたその後に返ってきたその人のセリフ。それにはこの酔ってる頭でも関係無くスイッチが入った。