小悪魔的な彼と悲観的な彼女
“おはよう、昨日はありがとう。帰ってから大丈夫だった?”
「……」
届いてたのは、いつものように私を気遣う優しい言葉。
…大丈夫?っていうのはきっと、体調の事だろうと思う。あの後の私はもうほぼ抜け殻状態だったから。体調が悪いっていう風に受け取ってくれたんだろうな、疲れさせちゃうと悪いからって、泊まらないで帰ったのだってきっとそれが理由だと思う。
でも…それなのに私はさ、そんな気遣いに気づいてながらもなんかそれどころじゃなかったっていうか、もう本当思考停止しちゃってて…なのに家に着いて一人になったら急に色々湧き上がってきちゃって、やり切れない思いで一杯になって…もう一人じゃいられない、なんて…もう一度外へくり出して行った…っていう。
そのまま近くのバーで一人泥酔するまで飲んでた…っていう。
そして記憶に無いまま帰還してる、っていう。
…ヤバイよね、ヤバイ。こんな事拓也君に知られる訳にはいかない、私気遣い丸投げにしてる、てかこんなの絶対引かれてしまう。
「はぁ…」
一体今日が始まってから何回目の溜息なんだろう。…やるせない。こんな事になったのも全部…って、あぁもういいじゃん別に。私は拓也君が好きだし拓也君もそう言ってくれてんだし、もう充分じゃん、今更じゃん。
…って、思いたいんだけど…
バカな私はその今更な事実に、また首を絞められてるっていう。