小悪魔的な彼と悲観的な彼女
…そんな事、すっかり忘れてた。
拓也君とは未来が無いって事が、つまり遊びで本気じゃないって事にすり替わっていって、それが自分の中で解決した瞬間に問題全てが解決したような、そんな錯覚に陥っていた。
そうだよ、拓也君がいくら本気だとしても世間の目は変わらないし、未来が無い事実は変わってない。
だって拓也君は素敵だ。そんな拓也君がモテるのは当たり前だ。だから拓也君の事を本気で好きな子だって何人もいるはずだし、それはこれからも現れるはず。
今は良い。まだ接待とか言われるけど一応彼女って事で終われるから。でもこれから先は…どうなるんだろう。
私を見て、拓也君を見て、比べて、彼女だと知って、他の人はどう思うんだろう。
それに拓也君だってそうだ。他の可愛い子達と私を同じ場所で並べて見たら…もう比べるまでもない事だ。しかも私は性格に難ありのお墨付き。今大丈夫でもきっといつか面倒くさく思われる、こんなネガティブですぐ泣く年上の綺麗でも可愛くも人と違う何かを持つ訳でも無い女、絶対嫌になるに決まってる。
もう今更だった。そんな事今更だし重々承知の上だったはずなのに、そんな事が気になって仕方なくて苦しくなる…なんて。