小悪魔的な彼と悲観的な彼女


…嫌だな、そんなの。

結局私達にはそれしか無いんだ。



…ーーそれからは、気づいたら落ち着いてたはずの脱ぎっぱなし病がまた再発してしまうようになっていった。拓也君が来ない夜は例の近所のバーに通うようになったのだ。


こうやって一人でどうしようもなくなった時。今までは結構琴乃に頼って、琴乃に付き合って貰ってたんだけど…なんか言いづらくて。せっかく応援してくれるようになったのに、そんな彼女にこんな事を言うのはすごく悪くて。

でも一人で飲んでもモヤモヤが和らぐのはその場かぎりで、結局私はモヤモヤの中を生きる羽目になって…それは拓也君とご飯に行ってから二週間程が経った、そんな時だった。


「あの、すみれさん。実は聞きたい事があるんですけど…」


いつも通り仕事を終えて帰宅の準備をしてる時、遅番で一緒だった社員の子に尋ねられたのだ。


「もしかして今、拓也君と付き合ってます?」


ーーそれはまさかの、予想だにしない展開だった。

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