小悪魔的な彼と悲観的な彼女


「あ……え?」


た、くや…君?


……なんで?


一体何を聞かれたのか、というか何の話なのか。いや、むしろそんな事よりもまず今何が起こっている…っていうかだって、つまりそれって…


頭の中が一瞬真っ白になった後、慌てて働き出した思考回路は焦りもあってなかなか上手く動き出さない。そうなると答えまでが果てしなく遠く感じるけど、だからってむやみに口を開く訳にもいかない。だって今、私はすごく危ない所にいる。それくらいは私の中の何かがちゃんと教えてくれる。


「え、えーっと…すみれさん?」

「……」


そうだ、危ない。危ないんだ。ちゃんとここで対応しておかないと大変な事になる予感がする。

もしかして付き合ってます?なんて女の人が言う場合、まだ確定はしてないけど確信はしてるんだよねって、そういう意味だもん。仲良い間柄ならまだしも、そうでもない私に向かって言うんだから、それくらいの気持ちじゃないとわざわざ本人に聞いたりなんて出来ないと思う。

てことはつまり、それってきっと彼女にそれなりの確信する理由があるって事で、それをもとに人に話して噂になんてされちゃったりしたら…

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