小悪魔的な彼と悲観的な彼女
ーーなんでだろう。
なんで私は拓也君といるようになったんだろう。
なんで拓也君の事信じるようになったんだろう。
なんでたった一人の彼女のつもりになってたんだろう。
なんでこんなにーー…拓也君の事、好きになっちゃったんだろう。
バカだ。バカだ。バカだ私は。
結局私はこうやって傷ついてる、これはあの時見えた未来そのものだ。
「だから…嫌だったのに」
「あの、すみません」
ハッと、急に聞こえてきた声に私の思考は遮断された。いつの間にか俯いていた顔を上げ、反射的に声のした隣へ顔を向ける。
「隣、良いですか?」
そこには、ニッコリと微笑む男性の姿があった。…知らない人だ。さほど広くは無い店内の、横並びのカウンター席。隣に他の人が座る事なんて珍しい事でも無い。