小悪魔的な彼と悲観的な彼女


「頭では分かってるんです、もう終わりなんだって。自分でももうそう感じるっていうか、さすがにこればっかりはいくら何でも無理だなって…でも、それなのに心がまだついていかなくて…」


もしかしたらって思ってるとか、そういうんじゃない。だから怖い。


「…私、悪く思えないんです。彼の事が」


不思議だった。もう無理だ、もう別れる、そう思う気持ちがあって、もし今日会ったらそれを思わず口走ってしまいそうで、だけどそれはダメだって思う自分が居て。


「結局失望した、なんて思っても今の私はそれが間違いだったと思ってる。始めから希望を持った私が悪かったんですから。全部悪いのは私だから、私が分かってたのにちゃんと対処出来なかったから、覚悟が出来て無かった私がいけない、なんて思う私がいて…分かってたくせに今こんな事になって、勝手に落ち込んでる自分がどうしようもなくて…」


だから今日会えなくて良かった、そう思ったんだ。きっと私は目を逸らせないから。その事実と向き合って、本人を前にしたらきっと私は感情的になって…拓也君を、傷つけるかもしれない。拓也君に感情を向けるのはきっと八つ当たりだ。私は分かってた。分かってたのに対処が出来なかった私がいけないんだ。私が…私が…


「私がここをまた乗り越えれば良いだけ、そういう事…なのかもしれない」

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