小悪魔的な彼と悲観的な彼女
…そっか。これってつまり始めに戻ったって事だ。間違ってた道を正していく事が出来るって事かもしれない。
「彼女じゃないのなんて本当は始めから分かってたんです。それなのにそんな気持ちになっていったから…だからいけない。そうだ、拓也君は何も悪くない、悪く思える訳なんて無かったんです」
他の女の人がいたら彼女は嫌かもしれない、なんて言ったけど、それはただの私の気持ちってだけであって、昔からずっと噂になってるくらいなんだから彼女がその事実を知らない訳が無いんだ。つまり知ってて彼女でいる。それに他の二号って人達もそう。みんな知ってる、分かっててそれでいる。
「私が、私がちゃんと今の立場を受け入れれば…きっとまた上手く…きっともしかしたら…」
「それは、違うと思うよ」
「……え?」
聞こえてきた否定の言葉に、夢中になっていた私は我に帰った。
あれ?今なんて話してたっけ?なんて、酔いもあってぐるぐる回ってた思考と口。遮られた事で一瞬頭の中が真っ白くなる。
「そんなのは可笑しい」
そこに入ってきた、一つの言葉。