小悪魔的な彼と悲観的な彼女


「…可笑しい?」


繰り返し呟いた私に、その人は大きく頷いた。


「だって結局、あなたが何になりたいのかが見えてこない」


返されたそんな言葉が…私の中に、はまる。

まるで埋め込まれたかのように重く、隙間なくはまったそれは、その存在を私の中に大きくあらわす。


ーー私は一体、何になりたい?



「…今はなんだか混乱してるようだからアレだけど…きっとそれなんじゃないかな」

「わ、私は…その…」

「それがあなたとその彼の関係を決めるんじゃないかなと、俺は思います」

「……」


私の想いが、拓也君との関係を決める…


「…そうじゃないと辛いです。あなたが」


ーーそう言って、その人は微笑んだ。

それは私を哀れんでいる、そんな悲しい笑顔だった。


< 161 / 202 >

この作品をシェア

pagetop