小悪魔的な彼と悲観的な彼女
彼女になりたい。でも二号じゃないと傍に居られない。だって拓也君には彼女が居る。
だけど二号になんてなりたくない。でも傍に居たい、居て欲しい。それでも彼女が居るっていう事実はやっぱり受け入れられない…あぁでも、そんなの今まで通りだって事でもある訳だから…
どうしよう、私が決めないと。関係はこのままか、それともここまでか。
考えれば考えるほど、この二つしか選択肢は無い。
「でも…彼はさ、どう思ってるんだろう」
「え?彼?」
「そう、彼。あなたが答えを出したとして、彼はそれにどう思うんだろうね」
「……」
拓也君が、どう思うのか。
「例えばあなたが別れたいって言ったとしたら、彼はどうするだろう」
「……」
別れたいって…言ったら。
ーー初めて会った次の日。酔った勢いで付き合う事になっていて、慌てて私は無かった事にしてくれるよう頼んだら、何故かきっぱり断られた。
“もう僕の物なんだから…逃がさないよ”
あの時の言葉が蘇る。あの一瞬で、あの時浮かべた彼の不敵な微笑みで、私の心が掴まれたのは紛れも無い事実。