小悪魔的な彼と悲観的な彼女


…でも、もし私が別れを告げたとしたら、その時彼はどうするだろう。

私の言葉に、どんな反応を示すだろう。


「彼が別れるのを拒んだらどうする?」

「…別れないと、思います」

「他に彼女が居るのに?」

「…きっと居ないって言うと思う…から、そしたらきっと、私は、」

「また彼を信じる?それでまた…ここに来る?」

「…私は…、」

「今だって、結局信じられないから来てるのに。彼が拒めば別れないって言うけど、でもその付き合いを続ける自分は結局ずっと二番目だって事にあなたもちゃんと気付いてる。だから彼がもし他の彼女の存在を否定したとしても、あなたはその答えを心から信じる事は出来ないはず」

「……」

「そうなると何が嘘で何が本当か分からなくなるよね?何を言われても信じられ無くなって、結局先に進む事が出来ないまま、きっとあなたはここに戻ってくると思うんだ。それでまた、悲しいはずの現実をなんとかして受け入れようと、目を逸らすように自分に言い聞かす」

「……」

「そんなの辛いだけだ。そんなの…もう、やめなよ」


ーー彼の言葉が、胸に突き刺さる。


「あなたはちゃんと自分と向き合うべきだ」


その場の感情に流されないで、情にほだされないで。


「あなたが望む事は何?」


< 166 / 202 >

この作品をシェア

pagetop