小悪魔的な彼と悲観的な彼女


「言っておくけど、僕はずっと本当の事を話してきた。伝えてきた。ずっとそうだった」


それは深く、深く、濃い一色になる。


「でも…信じてくれなかったのは、分かろうとしてくれなかったのは、すみれさん…あなただ」



“結局あなたは僕を信じてくれなかった。ずっと…今日だって”



ーーそして、そっと目を伏せた彼。

まるで露わになったそれを隠すかのように。私から逃れるかのように。


それでも…私には、ちゃんと分かった。

深い悲しみ、その一色に染まる彼の瞳ーー彼の心が。


…なんで?



そんな彼に私は、疑問を抱く。


なんでなの?なんでそんな瞳で私を見るの?


だって…だってさ、


「嘘ついてたのは…君じゃん」

< 175 / 202 >

この作品をシェア

pagetop