小悪魔的な彼と悲観的な彼女
「なんか、普段どうしても向こうの良いように流されちゃうから、若いのは十分理解してたけどそんな初々しい子っていうイメージがなかったというか、うちの会社の子と比べて驚いたっていうか、だって現実味がわかなかったというか…」
…うん。思った事を口に出してみた。そしたらいつの間にか言い訳になってて、琴乃にとっても悲しい顔をされた。
うぅっ、悲しい顔…辛い…っ
「…なんだろう、私もこんなの未来が無いんだからやめようって思ってんだけどさ、だけど…なんだろう。なんかもう、上手くいかなくて」
「……」
「つい流されちゃうんだよね…可愛くて。言いくるめられちゃうっていうか、仕方ないなぁって思っちゃうっていうか、と、ときめいちゃうっていうか…」
「……」
「も、もちろんっ、私だって可笑しいって思ってるよ?だって本気な訳無いし、真面目な話遊びに付き合ってなんてらんないし、何より酔った勢いもあった訳だし、だから次の日撤回しようとしたんだよ。それなのになんか受け入れてもらえなくって、なんかもう俺のでしょとかよく分かんない事言われちゃって、そしたらなんか結局今に至るていうか…」
「……」
「彼さ、結構会いに来てくれるんだけどね、夜とか勝手に家入ってくるんだよ?可笑しいよねぇ。鍵持ってるなら入っていいって訳じゃないのに、それでこっそりベッド入って来て寝てるのとかもうなんか寝顔見ちゃうと可愛くて、それなのになんかそういう勝手な所がさ、」
「分かった、もう分かった」