小悪魔的な彼と悲観的な彼女
だって恋愛はもちろん、自分の人生全てに絶望した私にとって、こんな日が来るなんて事はまさに予想外。想定できる範囲を越えに越え、奇跡が起きているといっても過言じゃないこんな状態が、この先も上手く続いていく訳がなかった。
だって彼は年下だ。
しかも恐ろしい事に、5歳もだ。
そんな男の子と付き合ってるなんて夢見がちにも程がある!
…って、自分でも痛いくらいに分かってる。いや、痛いくらいっていうか、ストレートに痛い。痛いのは自分だ、こんな自分。
本当に夢みたい、むしろ夢だったら良かったのに、なんて思う。こんなの現実で起こっても何にも良い事なんて無い。だってどうせ最後には捨てられる、そうに決まってるんだから。
どうせあたしは何も無い、ダメを代表する人間だ。好きでもない仕事に追われ続ける毎日を繰り返しているうちに気づけば29歳になっていて、キャッチコピー的に言うと、
“29歳、金なし趣味なし男なし。ついでに30までの時間もなし”
…なんて、誰にも言った事は無いけどそれはそれは簡単に思いついたりする訳だ。それで思いついちゃった瞬間、あぁもうダメだって絶望してしまった訳だ。