小悪魔的な彼と悲観的な彼女


ーーこうして、怒った彼の本気とやらを一晩かけて教え込まれた私は…休みで本当に良かったと、次の日の朝には心から思わざるを得ないはめになったのである。…本当に、若さって怖い。


「じゃあすみれさん、行ってくるね」


そう言って笑顔を見せるのは彼、同じ一晩を過ごしたはずの拓也君。

ビシッと決めたスーツがお似合いです。ていうかなんでそんなに元気なのか私にはさっぱり理解出来ないし、結局何か教えて貰えたんだか貰えなかったんだか。


「あっ、そうだすみれさん、これあげる」

「ん?…え、鍵?」


渡されたのは、一つの鍵。一つの…あれ?なんかこの鍵の持ち手の形、見覚えがあるような…


「そう、同じでしょ?すみれさんの鍵と」

「うん。似てる…って、同じ?」


え?それって何?

つまりどういうこと?


「実は同じマンションだったりして」

「…えぇ⁈ 」


そして悪戯っ子のような笑みを浮かべた拓也君は、「じゃあいってきまーす」と、爽やかに仕事へと向かっていった、と。

そんな彼の出て行った扉がパタンと閉まるのを…呆然と、私はただただ眺めていた、と。





ーー君の生態って、終


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