小悪魔的な彼と悲観的な彼女


だってもう、この先の私の人生なんて決まってる。今までと変わりなく辛い日々を繰り返して、何も無いおばさんになった私は誰の目にとまる事もないまま年を重ねて、最後は一人で死んでいくだけ。

そんな未来がリアルに見えてる。今までの人生の後悔とかそんなの通り越して、もうあるのはただただ先の絶望のみ。だったらもうお終いの方がマシ、これ以上はもう嫌!無理‼︎


…なんて事のピークを迎えたのが、29歳の誕生日の夜。あの時の私はお酒を飲んでいた事もあって、結論的に“死んだ方がマシ”なんていうところにまで到達した。

しかも恥ずかしい事に、私はそんな愚痴を大声でこぼしていた訳だ。あり得ないことに夜道で泣きながら。それはもう忘れたい…というか焼却炉に放り込んで燃えかすも残らないくらいに焼きつくしてしまいたい程の記憶であり、なのに完全に消える事の無いと分かっている絶対的な事実なのである。


…で、更にあり得ない事が続く、というか重なる訳で、実はその愚痴をこぼしていたのには相手がいた。…そう。それがつまり、その相手こそが正に今隣で眠る彼なのだ。

しかも驚愕な事に、その時点でなんの面識もない、初対面だという第二の事実。そしてそんな状況だっていうのに残念でしんどい私の愚痴を聞かされてしまった可哀想な彼。

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