小悪魔的な彼と悲観的な彼女
それは正しくいつもの彼。私を気遣ってくれる彼で間違い無くて、その後も何も可笑しなところなんて無いままその日は終わりを迎えた…のだけど、
…なんだろう、なんだったんだろう。
思わず固まってしまったあの空気は、彼の奥に見えたあの光は、あれらは見間違いだったのだろうか。
…分からない。
私はまだ、拓也君の事がこれっぽっちも分かっていない。そう再認識した…って当たり前か。だって住んでる場所だって知らなかったんだ。だからこれから近づいていきたいって、そう思って聞いてみて、それで…
…でも、私が思ってた彼と本当は違うかもしれないなんて、急に不安に思う私は何なんだろう。だってどんな嘘でも別に良いって、それでも続いていくならいいって思って、だから今伝えたのに。
浮かれて失敗したくないから、傷つかないためにもそれが大事だって心に決めたのに。
…もしかしたら、信じたいなんて、信じようなんて、それこそ浮かれていただけかもしれない。
それ自体が間違っているのかもしれない。