小悪魔的な彼と悲観的な彼女


…失敗したと思っただろう、ただ夜道を歩く女に声をかけただけなのに。それなのにこんな女で、こんなグダグダで、こんな絡み方されて……でも、なんでだろう。その時不思議な事が起こった。


“じゃあ僕が、お姉さんの彼氏になってあげる”


そう言って、彼は私に手を伸ばしたのだ。ニッコリと微笑んで、孤独で希望の見えない将来に絶望する泥酔した女に、そんな事を告げたのだ。


…率直に言うと、意味が分からない。正直その日の次の日からずっと考えてるんだけど、本当に意味が分からないの一言に尽きる。

繰り返すけど、彼とはその時が初対面。しかも夜道を歩く女性に声をかける彼は歩んできた人生が全く違うような、そんな内面的な人種も違うタイプで、なおかつ私は29歳。そして向こうは24歳。

5歳も違う。5歳も年下なのだ。


年上なら5歳くらい何とも思わない、というかむしろベストくらいに思うけど、いやもう年下となったら完全に話は別。

だって私には遊びに付き合うような余力はない!しかももう時間も無い!



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