小悪魔的な彼と悲観的な彼女

これは君からの、

ピーンポーン


あ、来た！

ガチャリと玄関のドアを開けると、そこにはやっぱり見慣れた彼の姿。


「…すみれさん、ちゃんと確認してから出ないとダメだよ」

「でも来るって連絡くれてたし、オートロックの外じゃなくて中のチャイムが鳴ってたし」

「だけど同じマンションに住む違う男だったかもしれないよ？」

「あはは、違う男なんてあり得ないあり得ない。ていうかよく確認しないでドア開けたって分かったね」

「…そりゃあ分かるよ、足音がしてすぐ開いたから。けどさ……まぁでも、そんなに会いたがってくれてたんなら仕方ないか」

「…え？」

「だって待ちわびてくれてたんでしょ？走って来て確認もしないでお出迎えしてくれる程だもんね？」

「……あー…」


ニヤリと笑ってこっちを見る拓也君の、その表情の嫌らしい事、嫌らしい事…

うぅ、走ってた事までバレたのか…って、足音聞こえてたんだもん分かっちゃうよね…

あぁー恥ずかしい。

恥ずかしい、けど…