小悪魔的な彼と悲観的な彼女


…拓也君は、楽しんでいる。

私との関係をーーこの付き合い方を、きっと彼のルールの中で楽しんでいる。


だったら。


「…うん。拓也君に会えるの、楽しみにしてたよ」


私も、私のルールの中で楽しませてもらわないと。


「だから拓也君、ほら、早く入って」


この関係を、十分に利用させてもらわないと。ちゃんと楽しまないと。


「お風呂先入るかな。あ、ご飯は食べて来てるんだよね?」


その時までは私の彼氏なんだから、一緒に居る間くらいちゃんと彼女にさせてもらわないと。

じゃないと、何の意味も無くなる。


「ん?そういえば泊まってくんだよね?勝手にそのつもりでいたけど…ほら、もう時間も遅いし…」


楽しまないと、お互いの欲求を満たし合わないと、この関係に何の意味も無くなってしまう。

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