小悪魔的な彼と悲観的な彼女


どうしてだろう、上手くいく事を願ってるだけなのに。この関係性を壊そうだなんて、そんな事思ってもいないのに。

私のする事なす事全てがどんどん、拓也君との距離を開いていく感じがする。


「…って、それも私の勘違いか」


元からこの距離なんだ、きっと。きっと心のどこかで求め過ぎてる私が居る。だからそんな風に勘違いをする。


だって拓也君はこうして私に会いに来てくれるんだから、それだけでもすごく嬉しい事、ありがたい事なはず。

さっきの確認しなかった事を注意してくれたのだって、私の事を心配してくれたからだ。そんな風に思ってもらえるなんて私には勿体無過ぎるくらい……本当に。


例えそれが拓也君の本心と違かったとしても、そう言ってもらえるだけで私は嬉しい。私はそう受け止める…というか、受け止めたい。

だって今は彼女なんだから。

一緒に居る時は彼女で居ても、いいんだから。


「あ、あがったんだ。早かったね」

「うん。用意しといてくれてありがとう」


お風呂上がりの拓也君は、上下寝る時用のスウェット姿。

それはうちに常備されるようになった彼用のもの。それに着替えたって事は、やっぱり泊まっていくって事だよね。

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