小悪魔的な彼と悲観的な彼女


…あぁ、やっぱり。

寝ぼけ眼で見つめられると…やっぱりダメだ。

なんでだろう、こんなに可愛い顔した年下の男の子が私の彼氏になるなんて。あり得ない、こんな事あり得ちゃいけないのに。


「どうしたの?あぁ、もう仕事行く時間?」


なんて言うから離してくれるのかと思いきや、逆にギュッと抱き締める腕に力を入れてくる。寝てたからだろうか、彼の吐息が熱い。


「やだなぁ。ねぇ、まだ行かないで。もう少し、もう少しだけで良いから」


…本当に、なんで私なんだろう。

素直に甘えてくる彼がどうしようもなく可愛くて、毎度毎度バカみたいにときめいてしまう。

恋愛から遠ざかり過ぎてたからなのか、だからつい許しちゃうというか、流されてしまう事ばかりだけど…でもそんなのダメだ、良くない。

ちゃんとしないと。


「ねぇ、ダメだよ。もう起きるから離して」

「もう少し」

「ていうか連絡してって言ってるよね?鍵だっていつの間にか持ってたし」

「それはすみれさんがくれたんだよ、ほら送ってあげた時」

「…酔った時の話は無しだよ、覚えてないんだから」

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