小悪魔的な彼と悲観的な彼女


だってやっと本当に、全ての想いを表に出した。…こんなに好きに、なっちゃったのに。そんなの自覚したくなかったのに。今までずっと知らないフリ出来たのに。だからずっと、諦めだってつけられてたのにーー


「無理だよ、こんなの…急過ぎる」


…せめて一度、あと一度でいいから。

それでなんとか、区切りをつけてみせるから。

だから連絡…してみようかな…


「……」


“求め過ぎてはいけない”


始めに掲げた私のルールが頭をよぎるのは、自分から会いたいだなんて、君の時間を下さいなんて言う事がそのルールに反しているから。

だから私は今までずっと、自分から連絡する事は無かったし、彼に理由を問い質したり、彼の本音を知ろうと強く出る事も無かった。でも…そのルールが適応されるのは、長続きさせたい時の話で、終わりの見えた今はもう違う。

…もう違う。そうだ、私の想いだって…だって、蓋を開けたのは君だ。君が開けたんだ。ずっと閉じてたのに、終わりたくないから、うまく終わりたいから、だから開けないようにしてたのに、それなのにそれを溢れさせたのはーー君だ。


君がいけない、君がいけない。

君を求めてやまない私にしてしまった、君がいけないんだ。

< 74 / 202 >

この作品をシェア

pagetop