小悪魔的な彼と悲観的な彼女


「……」


ずっと手元にあった私のスマートフォン。起動させてずらりと並んだ名前の中から彼、拓也君の名前を探し出す。

内容はすぐに思いついた。送るのは、今度はいつ会えるかな、そんなたった一言の文面。だって少しでも感情を含めてしまったら、あれもこれも色々書きたくなってしまうのは目に見えていたから。

でもいざ完成して送信する所までいくと…やっぱり躊躇ってしまう。私が連絡なんてしていいのかなって、それにやっぱり他の子がいたら…なんて…


……でも。


「…これが、最後」


口から言葉にして出してみると、少しだけ気持ちが軽くなったような気がした。そう、これが最後。最後だからーー私は、画面をタップした。


「…あー、やっちゃったなぁ」


送られるのは一瞬の事。昔は慌ててキャンセル、なんて事も出来たけど、今の時代、一瞬にして向こうの手元に届いてしまう。もう無いことには出来ないのだ。でもなんか、後悔…は少しあるにしても、でもやっぱり、なんか…清々しい。


…うん、清々しい!


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