小悪魔的な彼と悲観的な彼女


考えもしなかった。あり得なかった。

だって私は…


「…もう、終わりなんだと思った」

「…うん、ごめん」

「まだ終わりたく無いって、思ったんだよ…」

「僕も思ってるよ。でも…そんな風にすみれさんが思ってるとは思わなかった」

「…思うよ。だって私は…拓也君からしたら私は、」

「本気だよ」

「…え?」

「本気だよ。恥ずかしいけど…こんな事して、気を引きたいと思うくらいに」

「……」

「だから正直に言っちゃうと、なんだけど」

「?」

「求めてないとか、どうせ遊びだとか言われると悲しいし、寂しいし…腹が立つ」

「!、は、腹が立つ…?」

「うん。僕ばっかり好きで腹が立つ。だからすみれさんがやっと僕の事見始めてくれたから、そろそろかなって」

「…うん?」

「そろそろ…仕返しのしどきかなって」



“だからこれは、僕からの仕返しだよ”、なんて。



そう呟いてにっこり笑った後、拓也君はギュッと抱きしめてくれてーーなんだかもう、彼の腕の中で私はもう、なんだか色々どうでも良くなってしまった。


…可笑しい、あんなに沢山悩んだのに。決心までしたのに。

なのにもう、あんなに苦しかった気持ちはポカポカと、いつの間にか温かいものに変わっていた。





ーーこれは君からの、終


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