小悪魔的な彼と悲観的な彼女


「へぇ!すみれが意地悪されてるって気づいたんだ」

「き、気付いたよ!いくら私だって気付くよ!だって拓也君ってね…」


酷いんだよ?いつも私の反応見て楽しんでるの!私は必死だっていうのにさ、拓也君はなんかいっつも余裕ある感じっていうか、だからなんか私試されてる気分でね?だから余計に信じられないんじゃん!って思う訳で、それでなるべく踏み込まないようにしてればさ、なんか自分ばっかり好きみたいで腹が立つとか言ってくるし、でも結局ちゃんと謝ってくれて、それでなんか結局悪い事したなぁみたいな気持ちになっちゃうし、でも本心が知れて良かったなって気持ちもあるっていうか、思ってたのと違ったなって、結構好かれてたんだなって気付いたっていうか、今は前以上に仲良くなったっていうか、一緒にいる時間が増えてどんどん馴染んできたっていうか…なんか本当に気持ち持ってかれちゃってるのね?もう、


「本当っ、結局は向こうに振り回されてばっかりなの!」

「はいはい、幸せそうで良かったよ」


なんて、あんなに私が長く熱く想いを語ったというのに、琴乃はビールジョッキを片手にグビッと飲みながら、もう片方の手をヒラヒラヒラヒラ…


「って、聞いてる⁈ 私の話!」

「聞いてるよー。だから言ってんじゃん、幸せそうで良かったって」

「幸せだって言ってない!」

「でも幸せなんでしょ?」

「……」

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