小悪魔的な彼と悲観的な彼女
「だ、だってほら、出会った時だって私、泣いてた訳じゃん?しかも物凄く面倒くさい理由だった訳じゃん?」
そうなのだ。全てはこれ、ここが私の引っ掛かり所。
「それなのにそんな私を何で気になってくれたのかなって思ってね?あの時の私泣いたし怒ったし、酔っ払ってたし…それにこの間だってそう、その前にも確か…それなのに拓也君は引かないでくれるっていうか、好きでいてくれるっていうか…」
…うん、不思議だ。不思議でたまらない。
始まりから全て不思議な事尽くしなのだ。
「こんなのね、こんな泣いたり怒ったりする女に優しくしてくれるのなんてね、私に本気だとしか思えないって言われたの。だからすごく嬉しくて、」
「じゃあ何でどこから変態が出てきたの」
「あ、だ、だからそれか、あるいはこういうのを好む変態かの二択だっていう話で…」
「……」
「も、もちろん始めは変態だなんて思いもしなかったよ?でもただ、出会いが出会いだったから、あれ?もしや…って、なって…」
「……」
「ちょ、直球の…言葉が…ポロリと…」
「……」