小悪魔的な彼と悲観的な彼女


申し訳ない…本当に申し訳ない!

心の中のみならず、表でもダダ謝りである。なんか大切な事を言ってくれてるっていう理解はちゃんとあるからもう、余計に本当…っ!


「…うん、まぁつまりあれだ」


あぁ、話し出した拓也君の顔が見れないっ!なんかもう、きっと私の理解力の乏しさに呆れてるに違いない、もしかしたら少し嫌いになったかもしれない、思ってたのと違うって思われたかもしれない、こういうのって何て言うんだっけ、そうだ失望したっていうのかもしれな、


「すみれさんなら全部好きって事だよ」

「ごめんなさい!失望しないで下さい!」

「…え?」

「…へ?」


あれ?今何て?


お互いキョトンとしながら瞬きを繰り返して…先に動き出せるようになったのは、やっぱり拓也君で。


「あはははっ!失望って、こんな事でしないよ!」


なんて、それは本当になんていうか…歳相応の無邪気で楽しそうで、素直な笑顔。

…眩しい。眩しいのに…なんか、安心する。最近こんな拓也君の笑顔に安心するんだ。心を許してくれてる、そう実感してなんだか強張った気持ちがすぅっと柔らかくなる。

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