小悪魔的な彼と悲観的な彼女
声と共に、ハッと逸らした視線を元に、拓也君の方へと戻す。すると…そこには、またあの彼がいた。
煌々とした瞳を私に向ける、あの彼が。
「基本的に女性はそういうものだって認識はあるけど…やっぱりウンザリするものはするよ、正直ウザいなと思う人もいるし」
「……」
「でもね、可笑しいんだ。すみれさんのは…なんだろう、すごく惹き込まれる自分がいる。惹き込まれて…掴まれる」
「…つ、かまれる?」
「そう。僕の心がね、こうギュッと掴まれるんだよね。それがなんか堪らなくて」
「……」
ーーあぁ、なるほど。
これがあの、楽しそうな拓也君の正体だ。
「どんなすみれさんでもいいんだ、すみれさんが心の底を見せてくれるなら、露わにしてくれるなら。例え大声で醜く泣き喚かれたとしても、それでも僕は大歓迎だよ。きっと僕はその時喜んでる。恍惚とした表情ですみれさんの事を眺めて抱きしめてる、そう思うんだ」
私を見つめていながらも、その視線はきっと自分の脳内に映し出しているであろう、泣き喚いている私の姿へと向けられている。そう、私には理解出来る。