小悪魔的な彼と悲観的な彼女
「…僕の物だって、腕の中に収まるすみれさんに実感するんだ。これは僕だけが知ってるすみれさんだって、胸が一杯になるんだ、きっと…」
そして、何かに満足したように、それでいて何故か名残惜しそうにすうっと息を吸った彼はニッコリ笑って、私に言う。ね?なんか変態だよね、…と。
…思わず、言葉を失う私。
「……」
「…あれ?もしかして引いちゃった?」
「……」
「…よね、そうだよね。なんかつい僕も熱が入っちゃって…でも大丈夫だよ、すみれさん。決して泣かせたいって思ってる訳じゃないからね」
「……」
「すみれさんが泣いたり怒ったりするのはやっぱり可哀想だって思うし、ただすみれさんがそういうのを見せてくれるのが嬉しいっていうだけで、やっぱりすみれさんには笑ってて欲しいし…」
「……」
「今まで向こうがどう思おうがどう感じようがそういうもんだって一括りにしてたけど、でも違うんだ。すみれさんは違うんだ、僕にとって。だからつまり…まぁ簡単に言うともっと僕に頼って欲しいなって、そういう事なんだけど…分かってくれるかな?」
そう、不安な気持ちを抱きながらも、それを微笑みで隠して尋ねてくる拓也君の…って、そんな事まで表情を見て分かるようになってしまった私も大概なんだけど、正直嬉しいって思っちゃってるんだけど、でも…その想いを聞いて、受け入れる気持ちがあるからこそ一つ。どうしても一つ確認したい事が…私にはある。