201号室の、オオカミくん☆
カメラまで持参してたオッサンな。
逃げられたのは悔しいけど。
「うーん。護身用に自転車で帰るか。背中に金属バットでも担いで」
「あんたが捕まるよ。こんな時ぐらい誰かに甘えなさいってば」
「うへぇ」
痴漢が怖いなんて今さら私が言っても誰も信じないじゃんか。
それにこんな胸もない私に、誰も触ろうなんて思わないだろ。
取り合えず1回家に帰って荷物を少しずつ移動しよう。
教科書と服ぐらいあればいいし。
あ、米。米食べないと食べた気になれないし。
米と肉。買い出しにも行かなきゃ。
皇汰と接点を作るためとはいえ、我ながら健気だな。
なんで急にあんな変貌を遂げたんだろ。
皇汰はもっと上手く世間を渡るようなずる賢さと、甘え上手な所があった。
『髪、猫の毛みたいに柔らかくて可愛いな』
やたらスキンシップも多かったし。