201号室の、オオカミくん☆





「居ない……」

せっかく走り抜けたのに、屋上は誰も居らずしぃんと静かだ。


太陽の下で見る屋上は、色々と物が置かれている。


雨でボロボロになったソファと、ブルーシートが被せられた私の腰ぐらいの三段ボックス。



み゛ゃ゛あ゛ー


「低重音の鳴き声!? 若社長!?」



回りを見渡せばバリケードされて下からは上がれないはずの階段に続く踊り場へのドアが少し開いていた。



「若社長?」



そろり、そろそろと忍び寄ると、黒い影が動いている。



「若社長!」


「うわっ」


勢いよく開けたら、何故かお着替え中の猫みたいな奴がいた。





今まさに、パサリとシャツを脱ぎ落とした瞬間だった。
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