201号室の、オオカミくん☆
シャンシャンと鳴り響く鈴の音。


季節外れのサンタさんが来たのだと、私の心は喜んでいた。

私がサンタにお願いするのはいつも一緒。




――お母さんの病気が早く……。




「おーい、桐原さーん。桐原さーん」

揺さぶられ、私の夢の中からサンタが遠ざかっていく。
遠く遠くへ。


行かないで。

手を伸ばして掴んだのは、ひんやりした腕だった。



「桐原さん、皇汰くんが探してるよ」

「!?」

その言葉に飛び起きると、オレンジ色の空に溶け込む葵の姿があった。



「腕、痛いよー」

あははと笑う葵の後ろ。

空が……オレンジ色。

「ねぇ、今何時?」

葵の白い腕を握りながら呆然としてしまう。



「今は、六時過ぎだよ」
< 113 / 428 >

この作品をシェア

pagetop