201号室の、オオカミくん☆

「壁に挟まれてた猫を助けようとして自分も挟まってたらしい」

「ちょっ」

出鱈目だ!と言い換えそうとしたのに、リンダも岸六田先生もホッと胸を撫で下ろしている。

そんなに私が壁に挟まれそうかな。

納得した二人に納得ができない。



「すみません。お騒がせして」


「……すみません」

皇汰が謝るから、私も抱き抱えられたまま小さく謝った。


「帰るぞ」

「ん」


光はとっくに帰ってしまったらしく教室はもぬけの殻だ。

皇汰は、先生二人に目もくれず、私と自分のカバンを持って廊下へ向かう。


「全く。若社長ったら自分の体型を自覚しなさいよね」

岸六田先生が若社長を抱き抱えて、優しい声で笑うのが聞こえた。



私の自転車には目もくれず、スタスタと皇汰は歩いていく。

「自転車……」

「一生あそこに置いてろ」
< 117 / 428 >

この作品をシェア

pagetop