201号室の、オオカミくん☆
「壁に挟まれてた猫を助けようとして自分も挟まってたらしい」
「ちょっ」
出鱈目だ!と言い換えそうとしたのに、リンダも岸六田先生もホッと胸を撫で下ろしている。
そんなに私が壁に挟まれそうかな。
納得した二人に納得ができない。
「すみません。お騒がせして」
「……すみません」
皇汰が謝るから、私も抱き抱えられたまま小さく謝った。
「帰るぞ」
「ん」
光はとっくに帰ってしまったらしく教室はもぬけの殻だ。
皇汰は、先生二人に目もくれず、私と自分のカバンを持って廊下へ向かう。
「全く。若社長ったら自分の体型を自覚しなさいよね」
岸六田先生が若社長を抱き抱えて、優しい声で笑うのが聞こえた。
私の自転車には目もくれず、スタスタと皇汰は歩いていく。
「自転車……」
「一生あそこに置いてろ」