201号室の、オオカミくん☆
その人は、鷲鼻で伏し目がちな、アンニュイに佇むおじさんだった。
ウェーブかかった髪に気だるげに歩くその姿。
うちの高校では見かけない渋いおじさんだった。
朝、皇汰は寝坊したので私だけ先に登校した時の僅かな時間に出会ってしまった。
「おじさん、迷子?」
朝御飯の棒付きキャンディーをコロコロさせながら、話しかけてみる。
振り返ったおじさんの視線が宙を舞い、下に降りてきたのはムッとしたけど。どうせチビですよ。
「もしかしたら此処に探してる人が居てねー」
語尾を伸ばしながら呑気にそう言うと、じっと私を見た。
目を細めて私を見るけど、目の横にできるシワとかちょっとセクシーだ。
「君……桐原さんのお孫さん?」
「え」
「いや、お孫さんは高校生だったはず」
「私、高校生ですけど」