201号室の、オオカミくん☆
「おや、失礼。小学生の時に君が書道を止めて以来ですねー。変わらない可愛らしさで」
……。
このおじさん、うちのお婆ちゃんの書道の生徒なのかな?
全く覚えはないけど。
「私は葉瀬川 唯一(はせがわ ゆいいつ)。甥っ子が桐原さんの書道教室に通ってたんですよー」
甥っ子か。じゃあ教室でこの人を見かけてなくても不思議はないか。
まだ疑わしげにじろじろ見ていると、葉瀬川さんは思い付いたように私に尋ねてきた。
「あの子も確か1日だけ書道教室に居たんだよねー。葵が此処に来ていないか探してるんだけど」
「……葵?」
「誰か匿ってないかなー、なんて思ってる」
表情も変えずに淡々と言うけど、私の知ってる葵は一人しか居ない。
「何してんだよ。葉瀬川さん」