201号室の、オオカミくん☆

「ふぅん。じゃあ何で葉瀬川さんは葵を探してるんだろーね」

「うーん。複雑過ぎて結愛の頭で理解できる事やら」

「何それ! 酷い!」

楽しそうに葵が笑うから、私もそれ以上は聞かないようにしていた。


ホームルームの終わるチャイムが鳴れば戻らなきゃいけない。


私は、フェンスに立て掛けられた大きなキャンパスを、葵の隣に座って眺めた。

抽象画ってよく分からないから私には理解できないと思ってたけど、この深海みたいな絵に、葵がどんどん光を走らせていくから。


私は嫌いじゃないなって思えた。



「見てて楽しい?」

「意外と。自分でも驚いた」


「ふーん。さっきも言ったけど、苺柄ってちょっと子供っぽくない?」


体操座りをしている私をチラリと見て、ふふっと鼻で笑う。
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