201号室の、オオカミくん☆
「失礼な奴だな。いや間違えてないか……」
ぶつぶつと皇汰が言った後、いきなり私の手をとった。
「葉瀬川さん、まだ近くにいるから追い出そうぜ」
「えっ あ、授業」
「いーから、ほら」
授業の始まりの予鈴が鳴る中、私と皇汰は廊下を走り出す。
私は長ズボンを履いたダサいままで、皇汰に引っ張られるように走っていた。
「なんかさ」
ポツリと皇汰が言う。
「結愛は、揺るぎないよな――」
独り言のように。
それが、すごく気になった。