201号室の、オオカミくん☆
「あまり敵を作るのは止めなさい」
談話室に移動すると、リンダが額をハンカチで拭きながら疲れきった顔をしていた。
「葉瀬川さんは帰ったの?」
「話をそらさない」
ピシャリと言われて、不満だけど唇を尖らすだけで耐えた。
「……葵の事?」
核心に迫ると、先程美術室と同じように驚く。
「先生が、葵を匿ってたの?」
「…………」
だから葉瀬川さんが尋ねて来たんだ。
そう言えば、放課後は誰も屋上には近づかないって話なのに、先生は絵の具を運んでた。
「葵くんは、私の彫刻に憧れてくれてね。小さな頃から交流があった」
「ふーん」
「先生が、彫刻家を諦めて先生になった後、葵くんは次々に有名な賞を取ってね。――自分が出来なかった事を頑張る葵くんを応援したくなったんだ」