201号室の、オオカミくん☆

「あまり敵を作るのは止めなさい」

談話室に移動すると、リンダが額をハンカチで拭きながら疲れきった顔をしていた。


「葉瀬川さんは帰ったの?」

「話をそらさない」

ピシャリと言われて、不満だけど唇を尖らすだけで耐えた。





「……葵の事?」


核心に迫ると、先程美術室と同じように驚く。


「先生が、葵を匿ってたの?」

「…………」


だから葉瀬川さんが尋ねて来たんだ。


そう言えば、放課後は誰も屋上には近づかないって話なのに、先生は絵の具を運んでた。


「葵くんは、私の彫刻に憧れてくれてね。小さな頃から交流があった」


「ふーん」

「先生が、彫刻家を諦めて先生になった後、葵くんは次々に有名な賞を取ってね。――自分が出来なかった事を頑張る葵くんを応援したくなったんだ」
< 158 / 428 >

この作品をシェア

pagetop