201号室の、オオカミくん☆
シャラン……
梯子から少しだけ顔を覗かせたら、葵は体育座りを少し崩して座り、鈴を鳴らしながらボーッとしていた。
「あんた、良い人ばかりが回りに居て幸せだね」
「……桐は――結愛。来て大丈夫なの?」
「大丈ばないわよ。私まで不良学生に間違えられちゃった」
今の今まで作文を書いていた。
要領の良い皇汰は早速書いてなるべくサボらないと誓ったくせに、速攻で学年主任の授業で寝てたらしい。
おかげで今日は初めてたこ焼きパンを買えなかった。
コンビニまで走るのが面倒だから、此処に来た。
「おにぎり、ちょっと寄越しなさいよ」
「あらら。可愛い強盗が現れたかー」
ふてぶてしくもそう言うと、すぐに踊り場まで巨大おにぎりを取りに行ってくれた。
「今日はありがとう。俺と俺の秘密基地を守ってくれて」
「そうよ。こんな可愛い女の子に守らせて」