201号室の、オオカミくん☆
「うん。葉瀬川さん、良い人だったね。びっくりしちゃったよ」
オニギリのラップを剥ぎながら、呑気にそう言う。
「絵を描くの回りは反対ばっかだったから、葉瀬川さんもそうかと思ってた」
「ちゃんと回りを見なさい。噛じっていい?」
話もそこそこにオニギリにかじりつくと、直ぐに具の鮭も一緒に出てきた。
「美味しい」
美味しい。米も具もしっかりしてる。
「俺さ、絵に夢中になるとご飯忘れちゃって倒れちゃうから、林田ティーチャーが心配してこんな大きさなの。しかも飽きないように美味。真ん中は松阪牛入ってるよ」
「肉!!」
割って真ん中を食べて良いかなと葵を見上げると私は目を見開いた。
吸い込まれそうなぐらい、綺麗な瞳で微笑んでいる――……。