201号室の、オオカミくん☆
「そんなにしかめ面してる結愛も珍しいな」
「そう?」
「いつもスッパーンと竹を割りすぎてるはずなのに今日は割れてない」
もやもやを誰かに言えなかったのは確かに初めてかもしれない。
「乙女は秘密を持つものなのよ」
「俺にはぐいぐい来るのにズルい」
トボトボと歩くオレンジ色に染まる道。
何だか夕日が寂しく感じてしまう。
でも好きな人に『キスされました』なんて言えない。
キズモノになった事を。
「あ」
花忘荘が見えてきたけど、今日はいつもと違っていた。
明かりがついてる。
202号室と私と皇汰の部屋以外に明かりがついてる。
「遅いぞ! 準備は万端じゃ」
外ではドラガンさんが七厘で木炭を温めている。