201号室の、オオカミくん☆


葵……。

駄目だ。

思い出すだけで殴りたい。

思い出すだけで恥ずかしい。



「会ってない!」

「そうかぁー」

「会ってないけど、『二度と口だし出来ないように完璧に舞う』ってさ」


「……会ってるよねー」

葉瀬川さんが首をひねったけど、ワイルドにスルメを噛みちぎって誤魔化した。


せっかく忘れて皇汰の話を聞いていたのに。


「はい、できたよ」

「このサンダル、ショーウィンドウに飾ってたからちょっと色褪せてるけど」


バタバタと二人に傅かれ、私の用意はできた。



皆は着替えに行き、代わりに甚平に着替えた皇汰がやってきた。
紺色で背中に桜の模様の落ち着いた色合いで、ちょっと大人びて見える。



「お、可愛いじゃん」
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