２０１号室の、オオカミくん☆

「き、きっざ！」

危うくキュンってなるとこだったじゃん。
なったけど。


「うるせーな。なに泣きそうになってたんだよ。二、三発は殴ったんだろうな！？」


「あ、……殴ってない」

顎を蹴り上げただけ。

「殴ってスッキリして来いよ。せっかく可愛い服着てんのに表情が暗いのは俺が嫌なんだよ」


「……皇汰」

一応……心配してくれてるんだよね？

ついつい岸六田先生と比べて優しくない口調だとか可愛いげのない事を思ってしまうけど。


「ありがとう」


殴ってスッキリするなら殴ってみようかな、なんて前向きになれる思考だけは戻った。


「じゃあ、１つお願いがあるんだけど」

外から香る焼きトウモロコシを指差しながらそう言う。