201号室の、オオカミくん☆
熱々の美味しそうなトウモロコシを、皇汰が一口食べた。
「それ、甘い?」
「甘いよ」
「じゃあ、頂戴」
「俺は毒味か」とぼやかれたが構わない。
皇汰から貰ったトウモロコシの、歯形のついた隣を食べた。
じわりと広がる甘さに、ついついガツガツと食べてしまう。
「お前、さっきスルメ食べてたろ」
呆れる皇汰も、私の食べっぷりに最後は笑いだしていた。
でも、それで良い。それで良いやって思う。
皇汰と岸六田先生には甘い雰囲気が漂っても、
私たちにはそんな雰囲気要らない。
それのお陰で、私の目的は果たせた。
――皇汰と間接キス。
目的のためにトウモロコシを食べたからもう満腹だけど仕方ない。
初めてのキスは記憶がない時だけど、
初めての間接キスは甘いトウモロコシの味がした。