201号室の、オオカミくん☆


「お前!! こんな時に何を呑気な!」


「痛いっ痛い痛い痛い」

皇汰が蟀谷(こめかみ)をグリグリするので、痛くて手をバタバタさせて身を捩っていたら、岸六田先生が間に入ってくれた。


「止めてよ。私の可愛い生徒に。大丈夫? 可愛いわねー」

やたらとベタベタと頭や髪を撫でられ子ども扱いされている気がする。


「俺だって――今だけは生徒なのに」


「ハイハイ。昨日のケーキ、気に入ってくれたなら良かったぁ。あいつらウザいけど大丈夫だった?」


「可愛かったから写メ撮りました。皆、テンションは高いけど良い人たちでしたよ」


「ああん。写メ送って……。良かったらLINEを」

ちょっと興奮気味の岸六田先生が背中に胸をおしつけてくる。


悪い人じゃないからなんか調子が狂う。

いっそ皇汰をたぶらかす魔女だったら良かったのに。
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